住宅購入は消費税増税の前後どのタイミングで決断すべきか?

スポンサーリンク
スポンサーリンク

この記事は約 14 分で読めます。

こんにちは、桐生(きりゅう)です。

 

 

2019年10月に消費税の増税(8%⇒10%)が予定されています。

 

よく不動産仲介業者の売り文句で、
「増税前の今が家を買うチャンス!」
というものがあります。

 

これは果たして本当なのでしょうか?

 

住宅と消費税の増税の関係と、
購入のタイミングについてご説明します。

 

 

 

●住宅購入の何に消費税はかかるのか?

 

住宅購入で消費税が課税されるのは、

 

①建物
②仲介手数料
③登記費用の内、司法書士への報酬
④建物表示登記費用の内、土地家屋調査士への報酬
⑤ローン事務手数料
⑥引越し費用

 

以上となります。

 

一つずつ簡単に解説していきましょう。

 

①建物

これは物件価格の内の「建物部分」になります。
一般的に不動産広告等では、
〇〇住宅 4280万円
△△マンション 3680万円
という表記がされています。

 

これは「土地+建物(消費税込み)」の金額なのです。

 

問題は、
土地と建物の金額の割合なのですが、
物件の場所、建物の種類、周辺環境等様々な要因が絡むので、
簡単に計算する方法はありません。

 

不動産仲介業者に聞いてみるしかありません。
売買契約書には、
土地と建物の金額、または総額とその内の消費税額
が明記されるので、
不動産仲介業者であれば、
販売会社に問い合わせて調べる事が出来ます。

 

戸建て物件の我が家と、
契約破棄した家の場合は、
下記のように売買契約書に表記されています。

 

<今の家>
売買代金  \43,800,000-
(消費税額) (\1,291,851)-

 

<契約破棄した家>
土地価格   23,895,000円
建物税抜き  15,652,778円
建物消費税額  1,252,222円

 

同じ建築会社の物件でも、
仲介業者が違うと表記そのものも変わります。

 

 

ちなみに、土地には消費税が課税されません。
詳しい話は専門的になってしまうので割愛しますが、
土地は使っても消費されない(老朽化しない)為に、
土地の取引は非課税である、
とだけ覚えておいて下さい。

 

 

②仲介手数料

 

これは不動産仲介業者へ支払う仲介手数料です。
中には仲介手数料0円という会社もあるので、
その場合は消費税増税の影響はありません。

 

 

③登記費用の内、司法書士への報酬

 

詳しくは別の記事で説明しますが、
家を購入すると、
所有権移転登記や抵当権設定登記が必要になります。

 

登記そのものは登録免許税や印紙税といった税金なので、
そこには消費税は課税されません。
しかし、司法書士に登記の依頼をすると、
登記の手続きの報酬を請求されます。
それに消費税が課税されるのです。

 

登記を自分でやるという場合には、
消費税増税の影響はありません。

 

 

④建物表示登記費用の内、土地家屋調査士への報酬

 

建物表示登記とは、
建物を新築した際に申告する義務であり、
登記記録の「表題部」を作成する為の手続きと思って下さい。

 

この手続は義務であり、家の所有権を取得した人が、
1ヶ月以内に申請しなければならず、
期限を超えてしまうと10万円以下の過料(罰則)もあるものです。

 

こちらも、
登記を自分でやるという場合には、
消費税増税の影響はありません。

 

 

⑤ローン事務手数料

 

これは、住宅ローンを借りた銀行に支払う事務手数料です。

 

窓口のあるメガバンクや地方銀行などでは、
定額(数万円程度)なので、
消費税が増税しても影響は数百円~1000円程度です。

 

しかし、ネット銀行やフラット35では、
定率となっており、
多くの場合融資金額の2%程度+消費税となっていて、
影響が大きくなります。

 

仮に4,000万円の借り入れをしようとした場合、
あるメガバンクでは、
事務手数料は32,400円が33,000円
とわずか600円の差しかありません。

 

それに対し、
あるネット銀行の場合だと、
事務手数料は864,000円が880,000円となり、
16,000円もの差になってしまいます。

 

 

⑥引越し費用

 

引っ越し業者に支払う引越し費用です。
単身者であれば、業者を使わずに自分たちで引っ越しをする。
という選択もありますが、
家族の人数が多かったり、子供が小さかったりすると、
引っ越し業者を使った方が良いです。

 

スポンサーリンク

 

 

●消費税はどのタイミングで増税になるのか?

 

2018年7月現在では、
2019年10月1日より消費税が10%に増税される予定です。

 

では、
上記の①~⑥がどのタイミングで10%になるかを見ましょう。

 

簡単なのは、

 

③登記費用の内、司法書士への報酬
④建物表示登記費用の内、土地家屋調査士への報酬
⑤ローン事務手数料
⑥引越し費用

 

の4つです。

 

これらはそれぞれが行われた日、
つまり、家の引き渡し(③~⑤)や引っ越しの日(⑥)が、
2019年10月1日以降であれば消費税10%になります。

 

 

少々判断が厄介なのが、

 

①建物
②仲介手数料

 

です。

 

 

①建物は、
注文住宅かそれ以外の建物かによって変わります。

 

基本の考え方はどの建物の種類も共通で、
契約日がいつであれ、
家の引渡しが、
2019年9月30日までであれば旧税率(8%)が適用され、
2019年10月1日以降であれば新税率(10%)が適用されます。
これは上記③~⑥と同じ考え方です。

 

注文住宅の場合は、
この基本の考え方に加え、
契約日が2019年3月31日以前の場合注意が必要です。

 

注文住宅は、契約が売買契約でなく工事請負契約になります。
契約を締結してから施工に入り、
完成までは数ヶ月かかる事が一般的です。
この事から、工事請負契約の締結が半年以上前であれば、
旧税率(8%)が適用されます。(経過措置と言います)

 

つまり、2019年3月31日までに契約を締結すれば、
引き渡しが2019年10月1日以降の引き渡しでも、
旧税率(8%)が適用されます。

 

 

②仲介手数料は、更に複雑で、
不動産仲介業者が、
「仲介手数料の売り上げを計上する時期」
によって変わります。

 

多くの場合は、
仲介手数料を支払うことになる、
売買契約時や引き渡し時に、
不動産仲介業者が売り上げを計上すると考えられます。

 

私の場合は、
引き渡し時に仲介手数料は0円だったので、
いつに売上を計上したのかは正確には分かりません。

 

調べてみたところ、
不動産仲介の現場では、
売買契約締結時に、仲介手数料の半額を支払い、
家の引き渡し時に、残りの半額を支払うのが
慣習化しているようなので、複雑です。

 

売買契約締結と家の引き渡しが2019年10月1日を跨いだ場合、

 

売買契約締結時の仲介手数料(半額)は消費税率は8%
家の引き渡し時の仲介手数料(半額)は消費税率は10%

 

となります。

 

かなり複雑なので、
契約前に不動産仲介業者に確認した方が良いです。

 

 

 

●消費税が増税されてしまった後の購入でメリットはないの?

 

住宅購入は安い買い物ではないので、
単純な出費額だけで言えば、
増税前の方が得になります。

 

 

しかし、
増税後の方が得になるものを上げるとすれば、
3つあります。

 

・すまい給付金
・値下げの可能性
・贈与税の非課税枠の拡大

 

です。

 

 

すまい給付金とは、
国土交通省が創設した制度で、
消費税率引上げによる住宅取得者の負担を軽減する制度です。

 

簡単に説明をすると、

 

住宅購入後に申請をすると、
消費税8%時には最大30万円、
消費税10%時には最大50万円

 

の給付金がもらえるます。

 

ただし細かい条件があり、
詳しくは別記事でご説明します。

 

増税後は支給額が最大20万円も増えるので、
これはかなり助かる制度です。

 

 

値下げの可能性についてですが、
こちらは推測の域を出ないのですが、
消費税増税後の住宅売買取引の冷え込みを払拭すべく、
大幅な値下げが行われる可能性があるのです。

 

実際に過去の消費税増税時には、
不動産市場の縮小があり、
不動産価格の減少が見られます。

 

現在は、
材料費や人件費の高騰もあるので、
過去と同じ状況に必ずなるとは言えませんが、
特に消費税増税直後は、
住宅展示場やモデルルームはお客さんが少なくなる事でしょう。
値下げ交渉はしやすい状況になると思います。

 

 

贈与税の非課税枠の拡大について

 

現在は、
直系尊属(父母や祖父母)から、
住宅取得に関わる資金の援助を受けた場合に

 

質の高い住宅は1,200万円まで
その他の住宅は 700万円まで

 

贈与税が非課税になります。

 

これが、
消費税が10%に増税になったら、

 

質の高い住宅は3,000万円まで
その他の住宅は2,500万円まで

 

贈与税の非課税枠が拡大されます。

 

多額の資金援助が期待できる人からすると、
相当優遇される事になります。

 

 

 

●最後に

 

消費税の増税は、
住宅購入に少なからず影響を与えます。

 

しかし、
今なら安いから!
とか
高くなる前に!
といった業者の売り文句に惑わされる事なく、
じっくりと家選びはしてもらいたいです。

 

 

なぜなら、
あなたがこれから生活する家は、
安ければ何でも良い、というものでは無いはずです。

 

家族全員の幸せがそこにはあるはずなので、
焦って無理に決めてしまうと、
お金以上に大切なものを失ってしまう可能性もあります。

 

何を優先すべきか、
焦らずじっくりと考えてみてください。

 

 

 

あなたが心から
「この選択をして良かった」
と思える未来を迎えることを心から願っています。